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大阪地方裁判所 昭和63年(わ)1161号 判決 1988年7月11日

本籍及び住居

大阪府富田林市大字錦織一〇九三番地

会社役員

平井file_2.jpg壽

昭和一四年五月二五日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官藤村輝子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一三〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪府富田林市大字錦織一〇九三番地に居住し、「平井機械」の屋号で土木建設機械の賃貸、修理及び販売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの行為によりその所得の一部を秘匿した上

第一  昭和五八年分の総所得金額が五四三八万七五三円(別紙二修正損益計算書参照)であるにもかかわらず、同五九年三月一五日、同市若松町西二丁目一六九七番地一所在の所轄富田林税務署において、同税務署長に対し、同五八年分の総所得金額が七〇八万四一六八円で、これに対する所得税額が九〇万六九〇〇円(ただし、違算により七三万円と誤記)である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、正規の所得税額二六二二万一〇〇〇円と右申告額との差額二五三一万四一〇〇円(別紙一税額計算書参照)を免れ

第二  昭和五九年分の総所得金額が三〇四九万八四二六円(別紙三修正損益計算書参照)であるにもかかわらず、同六〇年三月一二日、前記富田林税務署において、同税務署長に対し、同五九年分の総所得金額が六〇八万八六七七円で、これに対する所得税額が六二万一〇〇円(ただし、違算により四五万六三〇〇円と誤記)である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、正規の所得税額一一〇五万六二〇〇円と右申告額との差額一〇四三万六一〇〇円(別紙一税額計算書参照)を免れ

第三  昭和六〇年分の総所得金額が四七〇七万六一八三円(別紙四修正損益計算書参照)であるにもかかわらず、同六一年三月一一日、前記富田林税務署において、同税務署長に対し、同六〇年分の総所得金額が六六三万一五二三円で、これに対する所得税額が七四万六七〇〇円(ただし、違算により五六万三四〇〇円と誤記)である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、正規の所得税額二〇三一万九七〇〇円と右申告額との差額一九五七万三〇〇〇円(別紙一税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書七通

一  平井美恵子の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書一一通

一  平井美恵子作成の供述書

一  三谷進及び永原裕也の検察官に対する各供述調書

一  上林信英、玉里加代子、鈴木久子、重松勝美、椎久勇男及び今井清作成の各確認書

一  長岡伸二、高山砂子、恵納章、稲垣博及び星山幸一作成の各取引状況照会回答書

一  谷川英樹、井元一成、東尾保、岩見健生、久保田求、練苧幸子、中田敏彦、田中吉昭、西川和廣、尾野英夫及び種池美代子作成の各取引内容照会回答書

一  岩見健生及び尾野英夫作成の「機械等取引明細」と題する書面の写二通

一  大蔵事務官作成の査察官調査書二五通(検察官証拠等関係カード番号8から10、15から20、26から29、33から41、43から45)

一  大蔵事務官外三名作成の査察官調査書四通

一  大蔵事務官作成の査察官報告書三通(同カード番号23から25)

一  大蔵事務官作成の調査報告書及び査察官調査報告書

判示第一及び第三の事実について

一  大蔵事務官作成の査察官報告書(同カード番号46)

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同カード番号1)

一  富田林税務署長作成の証明書(同カード番号4)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書二通(同カード番号32及び42)

判示第二及び第三の事実について

一  西川光夫作成の確認書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書二通(同カード番号21及び22)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同カード番号2)

一  富田林税務署長作成の証明書(同カード番号5)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同カード番号3)

一  富田林税務署長作成の証明書(同カード番号6)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するところ、情状によりいずれも所定刑中懲役刑及び罰金刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年及び罰金一三〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 的場純男)

別紙一 税額計算書

<省略>

注 申告額は確定申告書に記載誤りがあるため正当額に修正した金額、かっこ内は修正前申告額。

別紙二 修正損益計算書

自 昭和58年1月1日

至 昭和58年12月31日

<省略>

別紙三 修正損益計算書

自 昭和59年1月1日

至 昭和59年12月31日

<省略>

別紙四 修正損益計算書

自 昭和60年1月1日

至 昭和61年12月31日

<省略>

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